
コロナウィルスが問題になって一時家に居る時間が長くなり、読む本の量が増えた。
その中で一番共感したのは、ジョセフ・E・スティグリッツ(Joseph E.Stiglitz)の「プログレッシブキャピタリズム(PEOPLE, POWER, AND PROFITS)」。
原著は2019年に出版され、アメリカの経済と政治について書かれている。
経済的に成功しているように見える現在のアメリカでは、産業の独占化が進んで少数の富裕層に富が集められ、格差が拡大し、社会の歪みが深刻化している。
原因は40年程前に始まった新自由主義、市場原理主義の政策にあり、今やその行き過ぎた自由化や規制緩和を見直し、政府や公共的な仕組みの役割を大きくして、多くの人が中流階級の生活を送れるようにするべきだと言う。
振り返って考えると、その中流階級の生活とは、戦後の日本がアメリカを手本にして経済と政治を立て直す事で、手にしたはずのものではなかっただろうか。そして再びアメリカに倣う事で、それを手放してしまったのではないだろうか。