
第一次世界大戦から第二次世界大戦の間のイタリア近代建築には、以前から憧れと興味を持っていた。
学生の時に建築史の図集で見たテラーニ(Giuseppe Terragni)やリベラ(Adalberto Libera)の作品は小さな白黒写真でもとても魅力的だったし、数年前に実物を見たテラーニ設計のカーサ・デル・ファッショ(Casa del Fascio)は品格が有る素晴らしい建物だった。
最近、友人の鹿野正樹さんが訳したジョルジョ・チゥッチ(Giogio Ciucci)の著作「建築家とファシズム、イタリアの建築と都市1922-1944」(Gli architetti e il fascismo, Architettura e citta 1922-1944)を読んで、その時代のイタリアの状況とそこで建築家が何を考えどう行動したか、随分と教えて貰った。
例えば「合理主義」と言う言葉は、それ等の建築家を語る時にしばしば用いられるけれど、実態はかなり複雑で、ある人はそれを機能と、別の人は古典主義や幾何学と、また別の人は近代主義建築と結び付け、その違いは結局多くのずれや対立を生む事になる。
改めて、この時代のイタリア建築を見て回りたいと思った。