
以前友人から、子供に贈る建築の良い本は無いかと聞かれた時には藤森照信さんの本を薦めたけれど、今なら植田実(うえだまこと)さんの本を薦めたい。
少し前に読んだ「集合住宅30講」は、まさにそう言う本だった。
題材になっている集合住宅はどれも名前を知っていたし、見たものも多かったけれど、ここに書かれた活き活きとして的確な文章を読んで、僕は今まで何を見て何を知っているつもりになっていたのかと、恥ずかしくなってしまった。
一方で、見ないままに壊されてしまった同潤会アパートや晴海アパートについては、改めて残念な思いがしたのと同時に、こうして記録に残された事がせめてもの救いかも知れないと思った。