

去年岩崎駿介さんのご自宅である落日莊を訪ねた事を先輩の建築家にお話ししたら、「一語一絵、地球を生きる」と言う岩崎さんの著作を持って来て下さった。
上下2巻で上巻は社会的な内容、下巻は空間やデザインについての内容で、建築家である自分にとっては下巻の方が近しい世界ではあるけれど、読んでみてより心に残ったのは「地球上の富めるものと貧しきものとの対立」と題した上巻の方だった。
現在先進国と言われる国の都市に住む人間、それは私達の事なのだけれど、は同じ国の過疎地域に住む人達や、途上国と言われる国に住む人達に支えられ、その人達を犠牲にする事で豊かな生活を送っている。
私達はまずその事に気付き、それを少しづつでも変えて行かなければならない。
そうした岩崎さんの主張には説得力が有るし、その通りなのだろうと思う。
しかし今私達が手にしている豊かさを手放す事は、簡単ではない。
自分の事を考えても、祖父母が送ったような生活には戻りたくないし、今の家族にそうした思いをさせたくない、と思ってしまう。
その一方でやはり、他の人達を犠牲にしたままでいたくない、とも思う。
簡単ではない道を探して行くしかないのだろう。