2009年06月16日

吉村順三さんの事

前回の続きで、園田邸とそれを設計された吉村順三さんについて。
去年の6月2日に、吉村さんが設計された住宅は体験しないと良さが解らないようだと書いたのですが、実際に訪れた園田邸は確かに良いものでした。
月並みですが内部空間のスケールや開口の取り方が絶妙で、居心地がとても良いのです。
そのような点では、おそらく吉村さんほど悪く言われる事が無く、かつ賞賛される建築家はいないでしょう。
しかし私の場合、彼は尊敬すべき建築家ではありますが、めざすべき存在と言う訳ではないのです。
その理由を言葉にすると、彼が設計した建物はとても良いが、その先の可能性は見えないから、と言う事になると思います。
園田邸については、実は演奏が行われた増築部分は吉村さんの事務所に在籍された別の建築家が設計したもので、建築としてはそれより吉村さん自身が設計された母屋の方がずっと良いと思えてしまうのですが、その事は個人的な事情の結果ではなく、先に書いた可能性が見えないと言う感じに繋がっているように思うのです。
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2009年05月08日

ある消防団器具置場


消防団器具置場

画像として載せたのは、友人のY君が設計した消防団器具置場です。
ご本人は謙遜してあまり乗り気ではなかったのですが、無理を言って案内をしてもらいました。
3箇所に有る建物は機能が共通していて大きさと形もほとんど同じ、ただし色はそれぞれ違います。
画像の建物の場合は隣の屋根の色に合わせたそうですが、周囲の風景に良く合っていて、中に入る消防車の色に対応しているようでもあり、なかなか良い感じでした。
やや疑問だったのは建物の高さをぎりぎりまで低く抑えた事で、外から見た姿としては成功しているのですが、使い方や将来への対応を考えると、もう少し高くして余裕を持たせた方が良いように思いました。
それにしても、今回のようにささやかな公共施設がしっかり設計されると、周りの風景までが少し良いものになるようで、その事は小さな希望を与えてくれました。
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2009年04月30日

Tokyo Tech Front


Tokyo Tech Front

先週末は久しぶりに母校の東工大へ行って、恩師の坂本一成先生が日建設計と協働で設計されたTokyo Tech Front(東工大蔵前会館)を拝見して来ました。
先生らしい建物だと思う一方で、公共的な建物と言う事も有って、これまで拝見した幾つかの住宅とはかなり違っているとも思いました。
一言で言うと、より自然体であると言う感じです。
先生は以前から設計を進める上で、建築家の個性や施主の趣味のようなものが生々しい形では現われないようなやり方を取られて来たと思います。
しかし出来上がった建物にはいつも鋭い問題意識や提案が込められていた訳で、そこに独特の緊張感とある種の解り難さが同時に感じられたように思うのです。
今回は不特定多数に利用される建物であって、それを一定の広がりの中で体験できたので、こちらも身構える事なく接する事が出来たと言う事なのかも知れません。
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2009年04月10日

67歳の冒険者

4月7日夜に放送されたNHK総合テレビの「プロフェッショナル」と言う番組は、建築家の伊東豊雄さんを取り上げていました。
直接の面識は無いですが、現在最も尊敬できる建築家の1人です。
番組の始めに「67歳の冒険者」とあった通り、年を重ねても挑戦する気持ちが変わらない事には本当に感心しました。
おもしろいと思ったのは、司会進行役の茂木健一郎さんが、伊東さん自身の考えだけで進めずにスタッフにアイデアを出させるのは何故か、と言う質問をした事でした。
私を含め多くの建築家がそのようなやり方をしますが、他の分野の方から見ると少し不思議に感じられるのかも知れません。
伊東さんの答えは、その過程でいろいろな事を思いつくのが面白く、自分が思いもしなかった所へ行く程良いのだ、と言うものでした。
そうした言葉やその話し方に、伊東さんの若々しさが良く現われていたと思います。
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2009年04月07日

船橋ボックス


船橋ボックス

先週末、今は亡き宮脇檀さんが設計された「船橋ボックス」と言う住宅の見学会が有りました。
壊される事になって漸く見る事ができると言う事情は、去年の4月30日に書いた「斎藤助教授の家」と同じです。
東京の街中に建つ2階建ての建物で、竣工は1975年。
宮脇さんには以前から関心を持っていたのでかなり期待をしていたのですが、実際に見てみると自分が今やっている事、やろうとしている事とは随分違うように感じられて、少々意外でした。
良い建物であると言う事は間違いなく、特に内部は生活に対する配慮と意匠上の工夫がうまく一致していてグッドデザインの見本のような具合なのですが、自分にとってはその事がどこかしっくりこなくて、もう少し建物とそこに暮らす人の間に距離感が有った方が良いように思えたのです。
批評と言う事ではなく、建築家である自分の問題としていろいろ考える事になりました。
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2009年03月25日

北斎館プロポーザルその後


北斎館計画案

3月9日に書いた北斎館のプロポーザルは1次審査の結果が出たのですが、私達は落選。
残念です。
私達の案は作品を展示する場所そのものに着目したもので、展示の仕組みと外装や構造の仕組みを関連付け、植物の葉に包まれたような場所を作って、作品を保護しつつ外部から内部へ連続する環境を実現しようと言うものでした。
3月20日の公開審査に出席してみると、展示室は外部から遮断された四角い部屋を用意して終わりにし、外側の皮膜や外形を中心に考えた案が多く選ばれていました。
最終的な当選案はまだ解らないのですが、質疑を聞いた限り、選ばれそうな案と私が良いと思う案がまた違っていて、結局は審査員が望むものと私が良いと思うものにずれが有ったと言う事のようです。
建築そのもののアイデアとしては気に入っているので、何か別の機会にそれを活かせればと思っています。
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2009年03月11日

室伏次郎講演会


室伏次郎講演会

前の日曜日に神奈川大学で室伏次郎さんの講演会が有りました。
大学での最後の授業にあたるとの事で、自然と2月14日に書いた坂本一成先生の授業と重ねて考えてしまいました。
画像として映し出された室伏さんの作品を見ていると、それまで結び付けて考える事が無かった坂本先生の作品と、案外近い部分が多いように感じたのです。
特に1970年代の住宅にその感じが強くて、具体的な建物のあり方やそこでの生活についての価値観は、かなり重なっていたのではないかと思います。
逆に何が一番違うのかと考えてみると、室伏さんはご自分が建築家として活動を始めた頃に感じた事、考えた事を今でも大切にされていて、時代が多少変わっても重要な事はそれ程変わらないと考えられているのに対して、坂本先生はもう少し時代の状況をドライに捉えていて、社会が変われば建築も変わって当然だと考えられている事だと思います。
では自分はどうなのかと言えば、考え方はやはり恩師である坂本先生に近いと言う事になりますが、体質としては室伏さんに近い部分も有るように思うのでした
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2009年02月14日

坂本一成先生最後の授業

10日程前、恩師である坂本一成先生の最後の授業が東工大で行われました。
学生と卒業生を対象にしたものでしたが、平日の昼間にも関わらず大きな講義室が満員で、立ち見の人も居る程の盛況でした。
授業の進め方は、今までに設計された建物の写真を映しながら、その時に考えた事と今考えられる事を交えて話されると言うもので、私にとってはとても親しみ易いものでした。
お話しの内容そのものは必ずしも明快で解り易いとは言えなかったのですが、それは先生らしいと言って差し支え無い事だと思います。
そもそも現代の建築や社会と言うものが解り易い状況にはないのですから、正確に語ろうとすれば明快ではなくなるし、逆に明快に語ろうとすれば不正確になってしまうと言う事が有る訳です。
それは建築を設計する姿勢とも繋がっていて、先生は、現代の状況で建築家が意識的かつ具体的に設計をしようとする時にはどうすれば良いのか、と言う事をずっと問い続けて来られたのだと、私は理解しています。
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2009年02月06日

大磯の家


大磯の家

友人のMさんから、設計した住宅の見学会を大磯で開くと知らせが有ったので、他の友人と連れ立って行って来ました。
頂いた図面はL字型がいくつか並んでいるだけで台所も風呂も便所も無い謎めいたものでしたが、実際は、ばらまかれた壁に1枚の屋根が載ると言う明快な構成を持った建物で、当然ながら住宅としての機能を備えたものでした。
ご本人の話しを聞く限り、具体的な敷地や住まう人の生活から発想すると言うよりは、建築とそこでの空間体験のようなものを問題にしているのだと思いました。
そう言う点では、前回書いた大倉山の集合住宅に近いかも知れません。
実は去年の3月27日にここで書いた住宅もMさんの設計で、考え方に共通する部分が多いのですが、今回は周囲の環境に余裕が有る事と、建物が平屋でゆったりとした空間になっている事から、格段に穏やかなものになっていると感じました。
穏やかと言うのはそれだけ現実感を持てると言う事で、私には好ましく感じられます。
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2009年02月03日

大倉山の集合住宅


大倉山の集合住宅

今や世界的に有名な妹島和世さんが設計した「大倉山の集合住宅」。
建設途中から友人達の間で話題になっていたので、先日ふらっと外から見て来ました。
最初に感じたのは、コンクリートが不思議な程軽いな、と言う事。
自分も今鉄筋コンクリート造の建物を設計していて、どのようにしようかとあれこれ考えているのですが、この建物のコンクリートは実にあっけらかんとしていて、塗装をしようが鉄で作ろうが構いませんよ、と言わんばかり。
これが一種の抽象化であるとすれば、それは材料のレベルにとどまらず、風とか光とか人々の生活とか言うものまで一旦抽象化されてしまって、あくまで建築的な問題として考えられているかのようです。
しかもそうした事が、言葉や図面からではなく、できあがった建築から感じられるのですから、やはり見事です。
正直に言って、私自身はこの集合住宅に住みたいとは思いませんが、ここに住むように自分の方を変えたらどうだろう、と想像させる力が有ると思いました。
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2009年01月29日

大泉の家


大泉の家

画像に載せたのは、菊地宏さん設計の「大泉の家」。
プロデュースをしたOさんから頂いた見学会の案内には、「狭小地、しかも三角形、そして低予算、そして短期工事といった条件で実際建築家に依頼するのが憚れる内容」と有りました。
東京や横浜で仕事をする建築家にとっては珍しい事ではないですが、その時に何をするかと言う事が問題になる訳です。
この住宅の場合は特別に変わった事をせずに(あるいはできずに)、窓の大きさや配置、壁の色などに集中しているようでした。
外観の形が特徴的に見えるのは法規上の制限に従った結果で、内部の空間もそれを素直に反映したものでしたが、無駄なものを削ぎ落とし、色を限定的に使う事で、空間的な特徴が増幅され、法規に従う事の苦しさは弱められているように感じました。
設計する立場で考えると、条件が厳しければ尚更、余計な事をしたくなったりするものですが、ここでの取り組み方には共感できるものが有りました。
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2009年01月26日

SUMIKA Project


SUMIKA Project

先週、ご招待を頂いて宇都宮へ行き、”SUMIKA Project”(スミカプロジェクト)なるものを見て来ました。
伊東豊雄さんなど4人の建築家が、「プリミティブな暮らし」をテーマに別々の建物を設計し、東京ガスが所有する土地に建てたと言うものです。
それぞれの建築家が全く違ったアプローチをしていて、4つの違った世界を訪ね歩くような楽しさが有りました。
ただ少し気になったのは、周囲の街との関係があまり考えられていないようだった事。
画像に載せた敷地では、2つの特徴的な建物が無造作に並んでいて周囲から浮き上がってしまい、戯画的な風景になっているように感じました。
左側の西沢大良さんが設計した住宅の方は、単体としてなかなか興味深いものであっただけに、少々残念に思いました。
逆にこうした建物を建てるなら、敷地を東京か横浜の住宅展示場の一角にでもすれば、より積極的な意味を発信できるように思います。
このプロジェクトは以下のサイトで紹介されています。
http://kenchiku.tokyo-gas.co.jp/sumika_project/
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2009年01月13日

建築知識2009年1月号


建築知識2009年1月号

最近は雑誌の世界全体が縮小傾向で建築関係も状況は厳しいようですが、知人によればこの「建築知識」と言う雑誌は良く売れているとか。
その最新号2009年1月号は「写真とビデオで分かる建築基準法再入門」と言う内容で、私の事務所では設計した建物1軒を事例として提供し、付録のDVDには私自身が短時間出演して協力しました。
この号を設計者の為のハウツーものとして見ても良いのですが、都市の風景のある部分、建物の高さや形を決めている規則を解説しているものとして見ると、一般の方々にとってもおもしろいのではないかと思います。
図やイラストは使わずに白黒写真とその説明のみで構成されているので、現実の乾いた風景とそれを作り出している建築基準法との関係が、リアルに解るようになっています。
発売は昨年末ですが、少し大きい本屋さんにはまだ置いてあると思いますので、建築や都市に興味を持たれている方は是非お手に取ってご覧下さい。
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2008年12月22日

安藤忠雄建築展


安藤忠雄建築展

12月20日まで乃木坂のギャラリー間で「安藤忠雄建築展」が開かれていました。
注目は住吉の長屋の原寸大模型で、これだけを目当てに会場へ足を運んだ人も多かった事でしょう。
狭い敷地いっぱいに建てられたコンクリートの箱と、その三分の一を占める中庭。
確かにこの迫力と解り易さには、名作と言われるのにふさわしいものが有ります。
この住宅は30年以上前に建てられて、いまだに安藤さんの代表作であり続け、彼自身も原点と位置付けている訳ですから、大したものだと思います。
私が尊敬する他の何人かの建築家を考えてみると、ある時期に社会から注目されるような仕事を成し遂げたとしても、次の段階では大抵それを乗り越えるとか、異なる方向へ向かうような取り組みをしているものです。
安藤さんが、自分で述べているように30年前から同じような考え方で建築に取り組み続けているのだとしたら、それは驚くべき事に違いありません。
またある意味では、幸せな建築家の人生ではないかと思いました。
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2008年12月05日

イエノイエ


イエノイエ

先月末に終わった横浜トリエンナーレには何となく足が向かなかったのですが、「イエノイエ」だけは見て来ました。
案内所であり、展覧会場でもあり、モデルハウスにもなっていると言う建物です。
設計は私より若い世代の建築家である平田晃久さん。
外観は画像に載せたように風変わりな形をしていますが、家型と呼ぶ、ありふれた住宅の形が発想の元になっていて、特別に変わった手法や技術を用いている訳ではありません。
それでいて、ありふれた住宅には見られない形と空間ができています。
実際に住まわれる家ではないですが、興味深い取り組みになっていると思いました。
少し気になったのは、設計者自身によるこの建物の説明が、屋根を山や木に見立てて考えたと言うような、あまりにも素朴で稚拙にさえ感じられるものだった事。
建築家は文章を書く事が本業ではないのですから構わないのですが、同じ人が設計した別の建物とその説明などを考え合わせると、問題が無い訳ではないように思いました。
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2008年11月01日

旧閑谷学校にて


旧閑谷学校

先に書いた旅行の続きで、岡山県の旧閑谷学校(きゅうしずたにがっこう)へも行きました。
300年程前に、庶民が学問を学べるようにと藩主が建てた学校です。
私は恥ずかしながらここについてほとんど何も知らなかったのですが、同行した友人によれば、現代の建築家でここを高く評価する人がかなり多いとか。
確かに講堂を中心とする建物から庭、塀、植栽に至るまで、敷地全体に独特の魅力が溢れていました。
心地良い緊張感とおおらかさが並存しているような感じと言えば良いでしょうか。
その事は庶民が学ぶと言う場所の性格と深く関係しているはずですから、現代の我々にとって、壮大な社寺や城には感じられないような距離感が有るのでしょう。
こうした建物が長い間大切に使われてきたと言う事に、嬉しい思いがしました。
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2008年10月10日

KAIT工房


KAIT工房外観

先週末に行われたJIA神奈川の見学会では、石上純也さんが設計された神奈川工科大学KAIT工房を訪れました。
学生が工具や工作機械を使って物づくりをするための平屋の建物で、屋根を細い鉄骨柱だけで支え、外側は全て平滑なガラス、と言うシンプルな造りです。
たくさんの柱はそれぞれ向きや大きさが微妙に変わっていて、独特な風景ができあがっていました。
石上さんのお話しでは、柱を構造でも意匠でもないあいまいな存在にして、森の中にいるような環境をつくりたかったとの事です。
その狙いはかなり成功していると感じました。
熱や音などの物理的条件を考えた場合にはあまり良好な環境とは言えませんが、そうした点を補って余り有る建築的魅力が有ると思います。
また建築に取り組む姿勢としても、以前話題になった鉄の机や現代美術館での展示とは少し違って、正面から建築的課題に取り組んでいるところが好ましく感じられました。
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2008年09月30日

鉄の家


IRONHOUSE外観

これも少し前の話題ですが、JIA神奈川の見学会で、構造設計者の梅沢良三さんの事務所とご自宅を訪ねました。
画像として載せたのはご自宅の「IRONHOUSE」で、名前の通り壁や床など主要な部分が鉄で作られていて、外観は錆びた鉄がそのまま見えています。
梅沢さんのお話しによれば、鉄は手入れさえすれば100年、200年ともつ素材で信頼感が高く、それに比べて鉄筋コンクリートは50年もてば良い方だから、ご自宅は是非鉄で作りたかったとの事。
素直で積極的な発想が技術的にしっかりと裏付けられていて、なかなか興味深い建物でした。
室内に入らせて頂くと、部分的には外観と同じように鉄の荒々しい表情が見られるものの、全体としては高級感が有る、かなり趣味性が強い場所になっていました。
私などは構造の仕組みがそのまま感じられるような乾いた内装でも良かったように思うのですが、それはお住まいになる方の実感とは離れた感覚なのかも知れません。
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2008年09月10日

三溪園の旧矢箆原(やないはら)家住宅


旧矢箆原(やないはら)家住宅

横浜で三渓園と言えば、知らない人はまずいないと思います。
かつての豪商、原三溪の邸宅だった所で、今は横浜市の所有となり、市民に公開されています。
庭園そのものよりもそこに建っている建物が有名なのですが、実際に三溪が暮らしていた建物は夏の時期にしか公開されないので、この夏改めて行ってみる事にしました。
管理が行き届いた建物の中を、昔の事を想像しながら見て回るのは、なかなか楽しい経験でしたが、帰り際に気が変わって普段から公開されている「旧矢箆原(やないはら)家住宅」と言う合掌造りの建物へ行ってみると、そちらの存在感が圧倒的で、それまでの印象が薄れてしまう程なのでした。
この建物は1960年に岐阜県から移築されたので、原三溪と直接の関わりは無いのですが、白川や五箇山の観光地に残るどの合掌造りにも負けないだろうと思う程見事です。
以下の三溪園のサイトに情報が有ります。
http://www.sankeien.or.jp/

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2008年08月21日

篠原一男住宅図面


篠原一男住宅図面表紙

今は亡き篠原一男先生が設計された住宅の図面集。
今年初めに発売されたところ売れ行きが良く、一時は品切れになっていたようです。
有名な住宅でも詳細な図面を見る機会はあまり無いので、ここはこうなっていたのか、などと今更のように感心しながら読んでいます。
そしてどうしても、訪れた事のない現実の空間に思いを馳せてしまいます。
住宅の場合はその性格上実際に訪れる事が難しく、写真や図面でしか知らないと言う事が多くなりますが、これらの住宅に限って言えば、不本意な使われ方や改変を見せる事もなく、コントロールされた写真や図面によってのみ人々の記憶に残る事を考えると、体験できないと言う事は一つの利点であるとさえ思われてしまいます。
さらに言えば、建築家にとって写真よりもコントロールし易い図面の方が、明確にその意図を示していると言う事も有るでしょう。
ここに載っている1枚の図面を見ていると、何十年も前に実現した空間の鮮やかさや力強さが、全く色褪せないまま感じられるような気がします。
posted by masaaki at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 建築 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする