2010年06月09日

サンティーヴォ・デッラ・サピエンツァ聖堂


サンティーヴォ・デッラ・サピエンツァ聖堂

イタリアの話題に戻ります。
ローマでは体調が回復していなかったので、街の雰囲気を感じる事を大切にして、建物の見学についてはあまり欲張らないようにしていました。
そんな中、訪れた建物で一番印象的だったのは、サンティーヴォ・デッラ・サピエンツァ聖堂(Sant’Ivo della Sapienza)でした。
バロック時代の17世紀に、建築家ボッロミーニ(Francesco Borromini)が設計してできた建物です。
規模から言えば、サン・ピエトロ大聖堂やパンテオンと比べるまでもなく、こじんまりしていますが、街路から一歩中庭へ足を踏み入れた途端、何かが違うと思わせるような、強い魅力を感じました。
もし図面や模型だけでこの建物を見たなら、少し窮屈な空間ではないか、と思ったかも知れません。
しかし実際には、おそらく体験しなければ解らない、心地良い緊張感に溢れた場所だったのです。
あいにく聖堂の中には入れなかったのですが、中庭に面した回廊をゆっくり歩いて過ごした一時は、かけがえの無い経験になりました。
それはまた建築家として、普段自分が考えている事、つまり形や寸法、比例、色、素材と言った建築の言葉が持つ力を、改めて感じた機会でもありました。
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2010年05月22日

ミラノ中央駅


ミラノ中央駅

ミラノでは、腹痛をこらえつつ、有名な建物を幾つか見て回りました。
その中で、予想に反して印象的だったのが、ミラノ中央駅です。
資料によると、1912年に設計競技が行われてウリッセ・スタッチーニ(Ulisse Stacchini)が設計者として選ばれ、19年後の1931年に建物が完成した、と言う事になっています。
何でもムッソリーニが国家の威信を賭けて建設を進めたとかで、その規模とデザインは、誇大妄想的な印象を強く与えます。
ただ、空間として圧倒的な迫力が感じられるのもまた事実で、そもそも建築や土木の輝かしい遺産に恵まれたイタリアでは、この位しないと釣り合わないだろう、とも考えられます。
そこで思い出したのは、1986年に行われた東京都新都庁舎の設計競技での、磯崎新案でした。
あの案が実現したら、内部空間はこのような場所になったのではないか、と思ったのです。
磯崎さんは認めないかも知れませんが、西洋建築の歴史を意識しつつ、現代的な課題に取り組み、その中で空間をデザインする、と言う事が同じだとしたら、結果が似て来ても不思議ではないでしょう。
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2010年05月18日

ミラノサローネ2010


ミラノサローネ2010会場

もう1ヶ月前の事になってしまいましたが、イタリアへ行った最大の目的は、ミラノサローネ国際家具見本市(Milanosalone)を見る事でした。
建築やデザインの世界では有名な見本市で、今年は6日間で33万人程の人を集めたそうです。
ただ情けない事に、滞在中に体調を崩してしまったので、全体の1/3程度しか見る事ができませんでした。
家具の他、照明とキッチンの見本市が1年毎に開催され、今年はキッチンの年だった訳ですが、私としては、その部分がとても新鮮に感じられました。
それぞれのブースに強い個性が感じられ、設備と言う枠を超えて、インテリアとしての提案になっているものが多いのです。
また全体的に、日本で良く見られるように、エコとかバリアフリーとか、時代の流れらしきものに皆で従ってしまう、と言うような事は無くて、そうしたものを取り入れるにしても、自分達のデザインの中でしっかりと消化している、と思いました。
画像に載せたのは、会場となったローフィエラ(Rho Fiera)で、設計はマッシミリアーノ・フクサス(Massimiliano Fuksas)です。
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2010年05月10日

白いリリシズム


カーサ・デル・ファッショ内観

コモと言う街には、ジョゼッペ・テラーニ(Giuseppe Terragni)が設計した建物が幾つか有って、今回私は、それ等を巡るバスツアーに参加する事ができました。
その中でも、カーサ・デル・ファッショ(Casa del Fascio)とサンテリア幼稚園(Asilo d'infanzia Sant'Elia)は、初期モダニズム建築の傑作として有名です。
この2つの建物を考える時には、建築の歴史とか主義とか、あるいは政治との関係とか、いろいろ厄介な問題が有る訳ですが、今の自分の目で素直に見ると、リリシズムとでも呼びたくなるような、建物の姿や空間そのものの魅力が、強く印象に残りました。
例えば、概念的に考えれば、これ等の建物が「白い」必然性は特に無いのですが、その透明で清々しい表情は、「白い」からこそ、感じられるものに違いない、と思うのです。
またそのリリシズムは、幼い頃の槇文彦が、土浦亀城の自邸から感じたものと、あまり違わないのではないか、とも思います。
ただし私が撮った写真は、大体どれも良くなくて、画像に載せたカーサ・デル・ファッショの内観は、中ではまし、と言う1枚です。
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2010年03月23日

坂本一成先生の軌跡

先週、横浜国立大学の大学院で、恩師である坂本一成先生が講演されるとの事だったので、行って来ました。
坂本先生は、与えられた軌跡と言うテーマに沿って、学生時代のエピソードに始まり、篠原一男先生の影響を強く受ていた初期の住宅から、東工大の研究室で取り組まれた幾つかの集合住宅、それに現在進行中の小学校の計画まで、画像を交えて丁寧に話されていました。
考えてみれば、このようにご自分がやって来られた事を初めから順序立てて説明できると言う事自体が、すごい事だと思います。
また講演の後では、大学院で教える山本理顕さんや西沢立衛さんとのやり取りも有って、その内容もまた興味深いものでした。
世代としては、当然ながら山本さんの方が坂本先生に近いのですが、社会の中で建築の何を問題にするのか、と言うような話しになると、むしろ西沢さんの方が坂本先生の考え方に近い、と言うように感じました。
私自身、久し振りに学生に戻ったような時間を過ごして、少しは頭が柔らかくなったと言う気がしています。
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2010年03月18日

パズルか集落か


ルネヴィレッジ成城

前回の続きで、同じ日に成城へ行き、友人のY君が設計した建物を見ました。
同じ位の広さからなる住宅が9戸、ばらまかれた壁の間を埋めるように配置された、集合住宅です。
その配置は特定の方向性や中心性を感じさせないように工夫されていて、全体がパズルのようでもあり、集落のようでもありました。
同行した友人達からは、実際の生活を考えるともう少し視線やプライバシーの問題をしっかり解くべきだし、解けたのではないか、と言う意見が出ましたが、一般的な都市環境を考えればもっと厳しい状況はいくらでも有る訳で、集合住宅にはこの位のルーズさが有っても良いのではないか、と言うのが私の意見です。
全体として、以前に図面だけを見せてもらった時に感じた図式的な硬さはあまり無く、良い意味での普通さが有ると感じました。
強いて言えば、地下を含めた高さ方向にはもう少し変化が有っても良く、そうなれば今よりパズルのような性格が弱まり、集落のような性格が強まったのではないかと思います。
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2010年03月15日

槇さんが作る場所


仏教学大学院大学

年度末は建物の見学会が多く有って、見たい物も相当逃してしまっています。
そんな中、先週末は2つの建物を見て来ました。
1つは槇総合計画事務所が設計し、文京区内に完成した、仏教学大学院大学です。
事務所の担当者には旧知の人も居たので、何となく身内感覚で見始めたのですが、ホールとそれに続くホワイエまで来ると、ああ、これはやはり槇さんが作る場所だ、と身に沁みて感じ入る事になりました。
大学施設の一部分と言う位置付けなので、ホールと言っても規模はそれ程大きくなく、過去の幾つかの例に見られるようなデザインの密度感も無いのですが、場所の雰囲気には、さすがと思わせられる良さが有りました。
落ち着いていて品が有り、かつ清潔感が有って軽快さも感じさせるような、穏やかな心地良さ。
それを成り立たせているのは、独創的な空間造形でも、細心の注意を払った職人芸でもなくて、多種多様な建築的要素の慎重でリラックスした組み合わせ、とでも言えるやり方なのだと思います。
私が撮った内観写真は、残念ながら全くその良さを伝えていないので、画像としては建物の外観写真を載せておきます。
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2010年03月05日

セシル・バルモンドの世界展


セシル・バルモンドの・続展ちらし

建築関係の仲間内で話題になっていた、「エレメント/構造デザイナー セシル・バルモンドの世界」展を見て来ました。
会場では大学の先輩Sさんにばったり会ったのですが、何と制作協力者として半年位この展覧会に関わっていたとか。
そのSさんからいろいろと説明を聞く事ができて、幸運でした。
具体的な展示物の中では、H-edge(ヘッジ)と言う金属の板と鎖でできた立体がとてもおもしろくて、手品のように鮮やかで不思議なアートであるとともに、チャーミングな工芸品にもなっているようなのです。
(画像のちらしに有る写真はその一部を写したものです。)
それを含めて、彼のアイデアを示すパネルとか、手掛けたプロジェクトを示す映像とかを見て行くと、羨ましいと思える程の自由さと幅の広さを感じました。
建築家とは技術と芸術の各分野に通じた万能人であるべきだ、と言う理想が現代に残っているとすれば、彼のような構造デザイナーこそ、それに近付く可能性を持っているのかも知れません。
展覧会は3月22日までで、以下のサイトに情報が有ります。
http://www.operacity.jp/ag/exh114/
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2010年02月20日

槇文彦展


槇文彦展ポスター

代官山のヒルサイドフォーラムで開かれている「槇文彦展」を見て来ました。
展示されていたのは全て海外の建物で、説明も英語。
しかし内容を見てみると、建築を構想する時にはどう言う点を気にしているかとか、それを良い状態で実現する為にはどのような努力をしているかとか言う事がしっかり示されていて、私が理解していた槇事務所のやり方は、あまり変わっていないのだと気付きました。
槇さんは、海外でも日本と同じようにやっているのですよ、と言いたかったのかも知れません。
もう一つ感心したのは、目指す建築はモダニズムの範疇に有る、と言う事がはっきり現われていると感じられた事。
例えば今大学の建築学科で人気が有るだろう妹島和世さんや隈研吾さんは、モダニズムで良いとは全く考えていなくて、それを超える新しい建築を追い求めているはずです。
そうした状況が一方で有る中で、モダニズムで良いと言うのは、かなり特別な事ではないかと思いました。
これは私にとっても重要な問題で、考えて行かなければならない事です。
展覧会は2月28日までで、以下のサイトに情報が有ります。
http://www.hillsideterrace.com/art/100121.html

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2010年01月05日

「団地サイコー」展


団地サイコー展ちらし

皆さん、明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
早速ですが、近々私が参加する展覧会をお知らせします。
名付けて「団地サイコー」展。
横浜の建築家の集まりarea045(エリアゼロヨンゴ)の有志9組が、それぞれに団地住戸のリフォームを提案します。
舞台となるのはメンバーの1人、横山敦士さんが住むガーデン山団地です。
ほぼ全員が同じ住戸を対象にしているので、各建築家の個性や考え方の違いが現われて、興味深い内容になるのではないかと思います。
初日1月9日午後には当番として私が会場に居る予定です。
お時間が取れる方は是非いらして下さい。

期間:2010年 1月9日(土)〜15日(金) 午前10:00〜午後5:00
(13日(水)は休館です。)
会場:INAX横浜ショールーム
横浜市西区みなとみらい4-3-6
http://www.inax.co.jp/showroom/
主催:area045
http://www.area045.com/
入場料:無料
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2009年12月26日

隈研吾展

先週、ギャラリー間で「隈研吾展」を見て来ました。(会期は12月19日まで)
友人から聞いていた通り、見応えが有る模型がたくさん並んでいて、充実した内容でした。
隈さんは日本で今最も活躍している建築家の1人でしょうが、私の友人達の間では、肯定否定両方の評価が有るようです。
何が気になるかと言うと、一つは時代に敏感過ぎるように思われる事、もう一つは表層的な手法が多いと感じられる事でしょう。
しかし今回展示されていた「グラナダ・パフォーミングアーツ・センター」(2013年竣工予定)などには、そうした批判を乗り越える力が有ると感じました。
この計画が順調に進めば、彼の新しい段階を示す建物になるのではないでしょうか。
気掛かりなのは音響面で、一見したところクラシック音楽などに対してはかなり難しい空間になっているのではないかと思いました。
逆に言えば、それを乗り越える事で、シャロウンが設計したベルリンのコンサートホールのように、歴史的な建物になる可能性が有るのかも知れません。
以下のサイトに展覧会の情報が残っています。
http://www.toto.co.jp/gallerma/ex091015/index.htm
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2009年12月11日

瑞龍寺と勝興寺


勝興寺本坊修理

富山の話題をもう1つ。
富山県の高岡市には瑞龍寺と勝興寺と言う2つの大きなお寺が有ります。
瑞龍寺は江戸時代初期に前田家によって建てられた曹洞宗のお寺で、私が富山に居た10年余り前に修復がほぼ終わり、いくつかの建物が国宝に指定されました。
整然とした伽藍配置とすっきりした意匠は建築家好みのようで、横浜や東京から来た知人を案内すると喜んでもらえた事を良く覚えています。
一方の勝興寺は室町時代に起源を持つ浄土真宗のお寺で、現存する建物は概ね江戸時代に建てられた物ですが、私が居たのはちょうど修復が始まる頃で、失礼ながら木造建築の廃墟とはこう言うものか、と言う感慨を持ってしまうような状態でした。
現在は本堂の修復が終わり、大広間を中心とした本坊と呼ばれる部分の解体修理が進んでいて、今回その様子を見学する事ができました。
こうした作業に向けられる努力や熱意の大きさを思うと、本当に頭が下がる思いがします。
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2009年11月20日

PHAIDON Fumihiko Maki


PHAIDON Fumihiko Maki

自分が独立する前に師事していた建築家や勤めていた設計事務所と言うものは、時間が経ってもやはり気になるものです。
今年はPHAIDON(ファイドン)と言う出版社から”Fumihiko Maki”と言う作品集が出たので、元同僚の手を煩わせて買いました。
掲載されている建物は皆どこかで見て知っていたものでしたが、その選び方や扱い方には、いろいろと気が付く事が有りました。
特に目を引いたのは、設計競技で2等となり実現しなかったザルツブルグの会議場と、1999年に完成した富山国際会議場が続けて掲載されている事でした。
両方とも自分が担当の1人だったのですが、前者は設計協議、後者は現場を中心に関わったので、今まであまり結びつけて考えた事が無かったのです。
同じ会議場なので当然と言えば当然ですが、槇さんの中ではしっかり連続していたのかと思うと、ちょとした発見のように思えるのでした。
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2009年09月30日

坂倉準三さんの事


神奈川県立近代美術館

先日まで、神奈川県立近代美術館鎌倉とパナソニック電工汐留ミュージアムで「建築家坂倉準三展」が開かれていました。
坂倉さんは高名な建築家ですが、比較的早く亡くなってしまったせいか、世代が近い前川國男さんや吉村順三さんに比べると、現在は話題になる事が少ないように思います。
しかし展覧会の内容を一通り見て、家具から建築、都市計画までの幅広い分野で華々しい活躍をされていた事に、改めて感心させられました。
坂倉さん個人が優れた方であった事は勿論ですが、社会が建築家に求める役割が現在と比較に成らない程大きい時代であったと言う事も確かだと思います。
もう一つ考えさせられた事として、私個人の見解ですが、あれだけ多くの重要な仕事をされたにもかかわらず、建築作品として見た場合には、最も早い時期に設計されたパリ万国博覧会日本館と神奈川県立近代美術館を超える物は、その後できていなかったように思えます。
特に今回の展覧会会場でもあった後者は、今でも清新で軽快な魅力に溢れていて、私が最も好きだと思える建築の一つです。
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2009年09月05日

街で見掛けた木格子


A苑の木格子

前回書いたB堂ビルディングに向かう途中で、変わった建物を見掛けました。
A苑と言う高齢者施設で、道路から見える表面全体が白い木の格子で覆われています。
格子自体は日曜大工の店で売っているような物で目新しくはないですが、ここまで大々的に使われると壮観で、詩的な雰囲気さえ感じられます。
どうと言う事がない素材でも使い方次第ではおもしろい効果が有るものだと、しばらく感心しながら眺めてしまいました。
ただしこの格子の役割を考えてみると、施設の性格からして単なる日除けと言う訳ではなく、プライバシーを守る為の目隠しになっているのだと思います。
そうであればこの格子を疎ましく感じる人がいるのかも知れませんし、先に書いた詩的と言うイメージも少しばかり皮肉めいたものに思えてきます。
素直な気持ちで建物に向き合うと言う事はなかなかできないものだと、少しばかり悲しくなりました。
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2009年08月28日

B堂ビルディング


B堂ビルディング

建設会社の設計部に勤めるS先輩に声を掛けて頂いて、都内に完成したB堂ビルディングと言う建物を拝見しました。
地上11階建てで8階までが事務所、9階から上は住居と言う複合用途です。
しっかりした仕事をされているな、と言うのがまず感じた事でした。
計画、意匠ともにいろいろと挑戦をされているのですが、そのどれもが相当に検討や調整を重ねた上で実現していて、全体として説得力が有る良質な建物になっていると思いました。
組織の体制と蓄積が有るとは言え、多くの制約の中でここまでやり遂げるのは、簡単な事ではないでしょう。
こうした仕事と比べてしまうと、自分と近い世代の建築家が設計した風変わりな住宅のいくつかなどは、子供染みたものであるような気さえしたのでした。
自分としては、当然ながらこの建物には無いような良さを追い求めて行かなければならないのですが、そうした事を考える上でも良い経験をさせて頂いたと思います。
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2009年08月13日

吉原慎一郎氏を悼む

新聞によると、8月2日に建築家吉原慎一郎さんがお亡くなりになったそうです。
享年100歳との事。
謹んでお悔やみを申し上げます。
横浜の建築界では大変有名な方のはずですが、同世代の友人達に聞くと、残念ながらあまり良く知られていないようです。
作品としてまず思い浮かぶのは、1978年に竣工した横浜スタジアムでしょう。
斜めに切り取られた逆円錐形を使う事で、厳しい立地条件の中、内部の機能と外部の形態がうまく統合されています。
丹下健三さんが設計された代々木の体育館のような迫力は有りませんが、同じような性格の建物が次々とできても良いと思わせるような、健全な一般性が有ると思います。
晩年は建築を離れ、彫刻などに取り組まれていたようですが、結局一度もお会いできないままになってしまいました。
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2009年08月05日

陳家祠


陳家祠の中庭

広州市の街中に有って、地下鉄の駅名にもなっている「陳家祠」(Chen jia ci)。
清代末期に陳氏一族の位牌堂として建てられたものだそうですが、元々集会所のように使われていたらしく、厳粛と言うよりは穏やかで整った場所だと感じました。
特に画像に載せた中庭の部分は、しばらくそこに居たいと思わるような、とても居心地の良い場所でした。
いくつか見える木にもそれぞれのいわくが有るようで、おそらくここに有る全ての物は、はっきりとした意思によってそこに置かれ、またそれぞれに意味が込められていたのでしょう。
英語で言えば”artificial”と言う言葉がふさわしい、完全に制御された空間です。
それでいて息苦しい感じは全く無く、守られているような安心感が有るのです。
最近は建築の仕事をしていても、自然とかエコとか言う言葉ばかりが耳に入ってくるのですが、ここでは少し違った世界に触れられたように思いました
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2009年07月23日

第十一届中国(広州)国際建築装飾博覧会


第十一届中国(広州)国際建築装飾博覧会

広州の琶州国際会展中心で開かれた第十一届中国(広州)国際建築装飾博覧会。
これを見るのが今回中国へ行った一番の目的で、一通り見るのに丸2日掛かりましたが、内容は期待以上に興味深いものでした。
展示されていたのは建材、建具、金物、衛生器具など建物に使われる製品で、全体の様子を一言で言うと、幅が広いのです。
同じ種類の製品を扱っていても会社ごとに品質や価格がまちまちで、一見似たような物の値段が10倍位違うと言う事も有りました。
またうっかり別の場所でもらった見本などを見つけられると、その製品のどこが良くなくて、こちらの物はそれと違って如何に良いか、などと熱心に説明されてしまいます。
日本で建材を探すと、違う会社の製品なのに性能や価格がほとんど横並び、などと言う事が珍しくないのですが、中国では随分事情が違うようです。
可能性と危険性の両方が大きいのだとしたら、それだけ選ぶ側の目が試されると言う事になるでしょう。
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2009年07月15日

東莞の工場


東莞の工場

先週5日間程中国の広東(Guangdong)州へ行って来たので、その時の事を幾つか書いておきたいと思います。
ただし7月5日にウルムチで起きた事件についての情報は有りません。
画像に載せたのは広州(Guangzhou)市の隣、東莞(Dongguan)と言う街に有る工場です。
主に日本向けに建具や家具を作っていて、私が以前設計した建物でもその製品を使った事が有りました。
工場の建物は鉄筋コンクリート造ですが、柱や壁は白い漆喰で塗られ、床はテラゾーと言う一種の人造石で仕上げられています。
日本の工場ではまず見掛けない内装ですが、おおらかで適度に引き締まった雰囲気を持っていて、なかなか好ましい空間になっていました。
ここで働いているのはある程度以上の技能を認めらた人達で、敷地内の別棟に6人1組の相部屋で暮らし、忙しい時には朝8時半から翌朝2時まで交代無しで働くそうです。
そうしてできた製品の値段を聞くと、こちらの感覚の1/5から1/10位の額でした。
世界の工場と呼ばれている広東州の、一つの素顔を見たように思います。
posted by masaaki at 23:56| Comment(0) | 建築 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする