2017年10月02日

ミノル・ヤマサキの形見 The keepsake of Minoru Yamasaki

 毎日色々な所から送られて来るEメール。ある時、英文のニュースレターに有る1枚の写真に目が止まった。巨大なフォークの形をした錆びた鉄の塊。2001年9月11日に倒壊したニューヨークのワールドトレードセンターの柱だった。
 案内されたウェブサイトの記事を読むと、ワールドトレードセンターの柱はアメリカだけでなく世界中で彫刻などに再利用されていると言う。続けて10程の例が作者と共に紹介されていたけれど、ワールドトレードセンターを設計した建築家、ミノル・ヤマサキの名前は書かれていなかった。*
 あの悲劇が起こった時、深夜のテレビ画面に釘付けになった事を思い出す。煙を上げる建物、そして2回目の衝突。次の朝からは様々なメディアや友人達との会話でたくさんの言葉に接したけれど、その時もやはり、彼の名前は出て来なかった。何千人と言う人が亡くなった大事件で、そうした話題はふさわしくなかったのだろう。その事を解りながらも、僕は寂しかった。自分が建築の道に進んだきっかけの一つが彼だったからだ。
 高校3年生の時、僕はよく校内の図書館へ行った。そこには黄色い表紙に黒い文字で建築家の名前が書かれた品の良い作品集が有って、丹下健三やアルヴァ・アアルト、それに多分ミースやコルビュジェのものも有ったのだろうけれど、気に入って繰り返し見たのは、ミノル・ヤマサキのものだった。思い違いでなければ、その作品集にはワールドトレードセンターの写真と、柱についての説明が有ったと思う。
 彼は幾つもの高層建物を設計する中で、共通する柱の問題を考えていた。主に事務所となる上の部分では、構造的な理由から柱の間隔がある程度狭くなる。しかし下の部分では、出入口やロビーを作るので間隔を広くしたい。それで下の部分にアーチを設けたり、柱を彫刻的な一つの形にまとめたりと色々な工夫をした。その最も洗練された解決策が、上の柱を3本づつフォークのようにまとめて1本にすると言うワールドトレードセンターの形だった。
 僕が今、自分で建物を設計する時にも、ずっと小さい規模で似たような問題を考える事が有る。その解決策を依頼主や友人に説明する事はあまり無いけれど、自分にとってそうした工夫は大切なものだ。その気持ちの中には、ミノル・ヤマサキから受け継いだ何かが有るように思う。
* https://www.world-architects.com/en
Memorializing 9-11 with ‘WTC Steel’ by Lester Levine, 8. September 201
area045 建築家のコラム 2017年10月02日掲載
http://www.area045.com/mutter/291.html
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2017年06月12日

葉山のMさん達の家 Ms. and Mr.M's house in Hayama

葉山のMさん達の家

先月、友人の建築家Mさんが葉山に建てた自宅兼仕事場を見に行った。
海から少し離れた川沿いの住宅地に建つ3階建てで、外観は板貼りの壁の上に帽子のような金属屋根が載っていて、中々印象的。
内部は1階の仕事場から2、3階の居室、屋上と、それぞれ異なった場所が出来ていて、実際の建物の大きさ以上の広がりと豊かさが感じられた。
話しを聞いてみると、Mさんの経験や考えた事を大切にしながら丁寧に設計されたようで、例えば特徴的な屋根の形は、昔住んだ家や気になった街中の建物に有ったものを取り入れ、それを洗練させて用いたそうだ。
建築家の自宅と言うと、気負い過ぎて無理が目立ったり慎重過ぎて凡庸になったりして難しいのだけれど、この建物は成功していると思う。
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2017年05月27日

すみだ北斎美術館 The Sumida Hokusai museum

すみだ北斎美術館外観

少し前、すみだ北斎美術館を訪ねた。
昨年2016年の11月に開館した建物で、設計は妹島和世建築設計事務所。
外観は自然光を嫌う浮世絵の展示に合わせて壁が多く、そこに開口をスリット状に取る事で全体を分節し、周囲の街並みに馴染ませつつ彫刻的にまとめている。
実に賢いやり方で、力強く美しい。
しかし中に入ってみて、少しがっかりした。
展示室でないロビーのような場所まで閉鎖的で息苦しく、動線はエレベーターの利用が中心でそっけない。
全体的に面積が不足していたのか、便所の配置なども不自然で、カフェやレストランが無いので寛げない。
喩えれば、素敵な人が素敵な服を着たのに似合っていない、と言うような状況で、妹島さんも残念に思っているのではないだろうか。
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2017年04月07日

集合住宅30講 30topics of housing

集合住宅30講

以前友人から、子供に贈る建築の良い本は無いかと聞かれた時には藤森照信さんの本を薦めたけれど、今なら植田実(うえだまこと)さんの本を薦めたい。
少し前に読んだ「集合住宅30講」は、まさにそう言う本だった。
題材になっている集合住宅はどれも名前を知っていたし、見たものも多かったけれど、ここに書かれた活き活きとして的確な文章を読んで、僕は今まで何を見て何を知っているつもりになっていたのかと、恥ずかしくなってしまった。
一方で、見ないままに壊されてしまった同潤会アパートや晴海アパートについては、改めて残念な思いがしたのと同時に、こうして記録に残された事がせめてもの救いかも知れないと思った。


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2017年01月25日

建築家の素顔展2017 The exhibition, Architect's real faces 2017

area045建築家の素顔展2017ポスター

(お知らせ)
1月27日(金)から2月3日(金)まで、みなとみらい線みなとみらい駅近くのLIXILショールーム横浜で、建築家グループarea045(エリアゼロヨンゴ)による「建築家の素顔展」が開催されます。
内容は昨年10月に横浜駅東口の横浜新都市ビルで開催したものとほぼ同じですが、私の場所では書を書き直して展示します。
詳細は画像データの案内またはarea045のウェブサイト"http://www.area045.com/"をご参照下さい。
水曜日は休み、入場料は無料です。
1月30日の午後1時半から5時頃までは私も会場に居る予定ですので、お時間が有るかたは是非いらして下さい。

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2016年10月19日

街角のヘルツォーク&ド・ムーロン Herzog & de Meuron on the street

ミュウミュウ青山店

東京の青山周辺には有名な建築家が設計した建物が多く、また次々と建てられている。
先日自分が面白いと思ったのは、スイスの2人の建築家、ヘルツォーク&ド・ムーロンがデザインして2015年に完成したミュウミュウ青山店だった。
外壁が鈍い銀色に仕上げられたステンレス板で出来ていて、その一部が鏡のように磨き上げられ、街を行く人や車の姿を映し出している。
言葉で書けばそれだけの事だけれど、実際そこに居ると街角に蜃気楼か異空間が現われたようで不思議な楽しさが有った。
そしてその事が、磨かれた部分の位置や大きさ、磨かれていない部分との境目の処理、板そのものの継ぎ目の扱いなどの工夫によっているのだと思うと、また別の楽しさを感じた。
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2016年10月07日

建築家の素顔展 The exhibition, Architect's real faces

area045建築家の素顔展ポスター

(お知らせ)
10月11日(火)から18日(火)まで、横浜駅東口の横浜新都市ビル(そごう横浜店)9階シビルプラザでarea045による「建築家の素顔展」が開催されます。
area045(エリアゼロヨンゴ)は横浜に活動の拠点を置く建築家20組の集まりで、今回の展覧会ではその内17組について、仕事だけでなく趣味や特技などそれぞれの素顔についてご紹介する内容になっています。
画像データの案内とarea045のウェブサイト"http://www.area045.com/"もご参照下さい。
入場料は無料です。
14日と16日の午後3時から7時頃までは私も会場に居る予定ですので、お時間が有るかたは是非いらして下さい。
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2016年05月22日

O宅改修工事完成 The renovation of house O has been completed

O宅玄関改修後内観

先日、昨年末に完成したO宅改修工事の写真撮影に立ち会った。
23年前に建てられた住宅の玄関とその廻りのデザインを一新する仕事。
建物はハウスメーカーによるコンクリート製のもので、その構造部分を変えないと言う条件だったので、平面や開口の位置は元のまま仕上げや建具、家具などを変える事でどこまで出来るかと言う事になった。
新築の建物を設計する時は、空間や平面を中心に考えながら仕上げや建具も考えると言う事が多いので、今回は取り組み方に色々と難しさを感じたけれど、結果的には依頼して下さったかたに満足して頂けて、自分としても良い仕事を出来たのではないかと思う。
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2016年04月06日

熊本市営託麻団地 The Kumamoto municipal housing in Takuma

熊本市営託麻団地

3月に熊本市営託麻団地を訪ねた。
僕が東工大の学生だった時、坂本一成先生の研究室で設計の一部分を担当したのだけれど、完成した1994年より後で見たのは初めてだった。
住戸が395戸有り、坂本研究室と長谷川逸子さん、松永安光さんの事務所が設計した住棟が混じり合って配置され、一つの団地になっている。
坂本研究室が設計した住棟は外観が素直な箱型で、2階以上の住戸が吹き抜けを囲んだコの字型の平面を持ち、1階でその吹き抜けを繋ぐように共用通路が貫く構成になっている。
その構成は建物とそこに住む人や街、社会との関わりを考えさせるものになっていて、今見ても意欲的だ。
市営団地と言う事で管理が充分にされているとは言えないけれど、そうした事では曇らない輝きが有ると思った。
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2016年02月19日

さようなら神奈川県立近代美術館鎌倉 Good bye The Museum of Morern Art, Kamakura

神奈川県立近代美術館鎌倉

 1月31日に神奈川県立近代美術館鎌倉で最後の展覧会が終わり、もう今までのようにそこで絵や彫刻を見る事は出来なくなった。坂倉準三建築研究所が設計したこの美術館が開館したのは終戦からまだ間が無い1951年で、僕が生まれたのはその大分後だけれど、記憶の中には色々と懐かしい思い出が残っている。建築を志すようになって多少知識が増え新しい見方をするようになっても、その魅力が色褪せる事は無く、最も好きな建物であり続けている。
 改めて考えてみると、この建物は二つの点で特に素晴らしいと思う。
 一つは、周囲の環境に妥協せず新しい魅力を創り出している事。敷地は鎌倉の中心である鶴岡八幡宮の境内に位置し、もし今美術館を計画するなら、周囲の環境に配慮して傾斜屋根や落ち着いた色彩などを求められる事になり、このように池に張り出した白い箱のような建物を設計すれば、強い反対運動に遭ってしまうと思う。しかしこの建物が実際に周囲の環境を損なっているとは感じられず、逆に新しい魅力を引き出していて、単純に形や色を周囲に合わせるべきだと言う考えが浅く狭いものである事を教えてくれている。
 もう一つは、時代に即した設計が時代を超えた価値を生み出している事。建物が出来た時代の状況を反映して、外装や内装には高価な材料や特別な手仕事を要求されるものは使われていないし、建物全体は構造の鉄骨量を減らす為に軽量化が図られているのだけれど、優れた設計によって貧しさや弱さは感じられず、清潔さと気品を備えた一種抽象的な美しさが得られている。時を経て多少の物理的な劣化や改変が見られるようになっても、その本質的な価値は失われていない。
 多くの人達の努力が実り、この建物は県立近代美術館の役割を終えた後も壊されずに、鶴岡八幡宮へ引き継がれる事になった。素晴らしい建物に相応しい、素晴らしい使われ方をして欲しいものだと思う。

area045 建築家のコラム 2016年02月19日掲載
http://www.area045.com/mutter/290.html
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2016年01月29日

武蔵野美術大学4号館 Musashino Art University No.4 building

武蔵野美術大学4号館

前回に続いて去年の話し。
ヨーロッパから建築家の友人2人が日本に来て、何処を案内したら良いかと考え、僕自身も行きたいと思っていた武蔵野美術大学へ行く事にした。
時間が限られていて全ての建物を見る事は出来なかったけれど、皆の意見が一致して良いと言う事になったのは、芦原義信さんが設計し1964年に完成した4号館だった。
2階に油絵を描く為のアトリエと中庭が市松状に組み合わされて配置され、1階のピロティからそれぞれの中庭へ螺旋階段で出入りする。
図式がそのまま実現したような建物で、現在の目で見ると少し問題も有るのだけれど、硬さや息苦しさは無く、実際にとても上手く使われている。
友人の1人は、建築家の夢だ、と評していた。
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2015年11月25日

藤原陶房訪問 Visiting Fujiwara Earthen Art Studio

蛍硝子の製作

先月10月のある日、栃木県益子に有る藤原陶房を訪ねた。
僕の事務所で今設計監理をしている住宅の改修工事で使う蛍硝子と言う材料を作っている所だ。
蛍硝子は蛍光管を再利用し、低音焼成して蛍光粉を残したまま水銀を除去する。
厚く、深みが有る半透明の表情を持つそれは、普段見慣れている板硝子とは随分趣きが違う。
陶房を主宰する藤原郁三さんはその他にも陶板を中心に、モニュメントや穴窯で作る邪鬼など色々な物に取り組まれていて、話しが尽きない。
仕事の中の一時、とても楽しい時間を過ごす事が出来た。
画像として載せた写真は、砕いた蛍光管を並べて奥に見える電気窯で焼く準備をしている所。
冷ます時間を含めて1回1週間、今回は4回で1ヶ月位の時間が掛かる。
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2015年10月05日

藤江和子さんの仕事 Fujie Kazuko's Works

Fujie Kazuko Works 1997-2015

少し前、家具デザイナーの藤江和子さんから"Fujie Kazuko Works 1997-2015"と題する作品集を送って頂いた。
僕は槇文彦さんの事務所に居た時に何度か一緒に仕事をさせて頂いて、独立してからは残念ながらその機会が無いのだけれど、その間に随分と幅広くまた積極的に仕事をされていたものだと、改めて感心をした。
建築家は他の専門家と協力して仕事をする事が多いけれど、家具デザイナーとの協働はお互いの領域が重なり合う事が多く、独特の難しさが有る。
家具デザイナーの側から見ると、家具が建築に合わないのは勿論良くないし、合わせ過ぎてもつまらない。
そうした中で自分自身の表現を成り立たせて行くのは至難の業で、僕が知っている限り、藤江さん以上にそれを立派にやり遂げている人は居ないと思う。
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2015年07月31日

新国立競技場問題について About the issue of the new national stadium

安倍晋三首相が新国立競技場の計画を白紙に戻して見直すと表明した事は、取り合えず良かったと思う。
けれどこの先どうなるかはまだ解らない。
思い返せば、2013年8月に建築家の槇文彦さんがこの計画に意義を申し立てたのは、敷地に相応しくないその巨大さと、設計者を選ぶコンペティションの杜撰さに対してだった。
しかし最近になって反対意見が盛り上がった主な理由は建設費が高額過ぎると言う事で、高くなった主な原因は全体に屋根を掛ける為、その屋根を掛ける理由はスポーツ競技だけでは運営が赤字になるのでイベントを開催出来るようにする為、とどこまでもお金の問題になってしまっている。
そして今ならまだ間に合う、間に合わないと言う時間の問題。
お金と時間の問題は誰にでも解り易いけれど、国を代表するような建物が安く早く出来ればそれで良いと言えるのだろうか。
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2015年04月15日

静岡県草薙総合運動場体育館 The Gymnasium in Shizuoka Prefecture Kusanagi Sports Complex

静岡県草薙総合運動場体育館

先日、完成したばかりの静岡県草薙総合運動場体育館を見学する機会が有った。
設計は内藤廣建設計事務所で、構造設計はKAP。
屋根構造の主な材料として杉の集成材を使っていて、中に入るとまずその存在感に目を奪われるけれど、上下には鉄骨と鉄筋コンクリートの部分が有り、屋根全体を柱上の免震装置で支えると言う複雑な構成になっていて、構造設計や施工の面では困難が多かったそうだ。
一方で建物と外部との関係や周囲のランドスケープは意外な程あっさりと処理されていて、設計としては少しアンバランスなようにも思えた。
しかしバランス良く考えられた建物には無い迫力が有るとも言える訳で、その辺りは建物を設計する時の一つの難しさなのだろうと思う。
(2015年04月16日改稿)


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2015年04月02日

屋内運動場改修の仕事 The work of gymnasium renewal

S中学校屋内運動場にて

一昨年の夏から今年の冬まで、ある横浜市立中学校の屋内運動場改修に伴う設計監理の仕事をした。
構造は変えずに屋根と内装、建具のやり換えを行うもので、間取りはほとんど変えられないし、使う材料も大体決められている。
他の学校で行う同じような工事と同じような内容で進める事が原則だ。
工事の規模と金額はそれなりに大きく、その分責任も大きいけれど、創意工夫の余地が大きいとは言えない仕事。
こうした場合、自分はどのような姿勢でこの仕事をするべきかと言う事を、いつも以上に考えてしまう。
ごく普通に考えれば、限られた条件の中で少しでも良い建物が出来るように最善を尽くす、と言う事になる。
でも別の考え方も有って、割り切って効率的に作業をしながら求められる仕事を過不足無く行う事も可能だろうし、求められる仕事を行った上で意匠、つまり形や色についての挑戦や冒険を行う事も可能なはずだ。
僕は概ね、普通に考えられる姿勢で最善を尽くしたけれど、部分的に冒険をした所も有る。
結果として何かしら、子供達に伝わるものが出来ていれば良いと思う。

area045 建築家のコラム 2015年03月30日掲載
http://www.area045.com/mutter/285.html
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2015年01月29日

千葉大学医学部記念講堂 Chiba University Medical Department Memorial Hall

千葉大学医学部記念講堂

昨年末、千葉大学医学部記念講堂を訪れた。
以前自分が勤めていた槇総合計画事務所が設計し、1963年に出来た建物で、昨年大掛かりな改修が行われた。
同じ設計事務所が50年を経て新築と改修の両方を手掛けた事になる。
建物全体の大きさや構成は新築時のまま、使われ方や設備的な要求の変化に合わせて内部を変更し、耐震性能の向上や材料劣化への対応なども行われている。
それに必要だった労力と意義は、新築時のそれに劣らず大きいのではないかと思う。
一方で建築的な空間体験からすると、止むを得ない事とは言え、新築時に有った連続性や流動性、透明感は相当損なわれてしまったのだろうと想像される。
今自分が改修に関わる仕事をしている事も有って、色々と考えさせられる貴重な機会となった。
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2014年12月09日

講演会「コル」、の楽しみ The lecture "Le Corbusier's pleasure"

「コル」、の楽しみ

少し前の事になってしまったけれど、11月15日に横浜で開催された室伏次郎さんによる講演会「コル」、の楽しみ、に参加した。
コルとは建築家ル・コルビュジェ(Le Corbusier)の事。
室伏さんは、師事した坂倉準三さんがコルビュジェの元に居た人だった事も有って、その影響が大きくなり過ぎる事を恐れ、60歳になるまで彼の事を避けていたそうだ。
講演会では、60歳を過ぎてから訪ねた多くのコルビュジェ作品について、ご自分が写した写真を投影しながら、感じた事や考えた事を話された。
その内容は僕にとって新鮮で、とても興味深かった。
僕が建築を学び始めた時、コルビュジェは既に歴史上の人物だったので、室伏さんとは向き合い方がそもそも違っていたのだと思う。
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2014年11月12日

東京電機大学を訪ねて Visit to Tokyo Denki University

東京電機大学東京千住キャンパス

前回書いた友人と一緒に、東京電機大学の東京千住キャンパスを訪れた。
僕が以前勤めていた槇総合計画事務所が設計し、2012年に開設されたキャンパスで、事務所の先輩や後輩に当たる人の研究室も有る。
直接の関わりは無いけれど、見て歩くとやはり色々と気になって、ここはこう考えて設計したのかなとか、何でこうしなかったのかな、などど考えてしまう。
そして僕自身の物差しからすれば、もっとうまく出来そうな所も部分的には有る。
しかし全体を見ると、仮に人手と時間を充分に掛けたとしても、僕の事務所であのような建物群をまとめあげる事は出来そうにない。
当たり前だと笑われるかも知れないけれど、それではまずいはずなのだ。

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2014年11月03日

軽井沢の2つの建物 The two buildings in Karuizawa

旧飯箸邸

先月のある日、友人達と軽井沢へ行った。
目当ては坂倉準三さんが設計した旧飯箸邸で、1941年に東京で建てられ、今は移築されてレストランになっている。
外形は切妻屋根で一見和風住宅のようだけれど、整った立面や立体的な内部空間には良質なモダニズムの美学が感じられる。
1942年に建てられた前川國男さんの自邸程有名ではないけれど、学ぶべき魅力が多く有ると思った。
またそれに先立って、西沢立衛さんが設計した軽井沢千住博美術館も訪れた。
こちらは2011年に出来た建物で、傾斜した床と婉曲した屋根を持ち、自然光で作品を見ると言う斬新な美術館だ。
続けて見たのでどうしても比較をしてしまうのだけれど、全体的な建物の質、居心地共に旧飯箸邸の方が良かった、と言うのが僕と友人達の一致した意見だった。
だからと言って、僕自身がこれから旧飯箸邸のような建物を設計したい、とは単純に思えない。
こうした迷いは、今多くの建築家が感じている事ではないかと思う。
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