
横浜のそごう美術館で開かれていた「宮沢賢治詩と絵の宇宙」展を見ました。
子供の頃、学校や街の図書館で彼の本を何冊も読んだので、その儚く美しい世界は今でも心の奥に残っているように思います。
しかし鉱物や仏教の話しが絡み合っていて読むのに苦労した事などが有って、解り難く捉え難い人だと言う印象もまた持っていました。
今回の展覧会は彼の詩や童話を題材とした様々な作品が並ぶものでしたが、中に幾つか彼自身が書いたものが有ると言う事だったので、見てみたいと思ったのです。
実際に見て一番印象深かったのは、彼が亡くなる前に家族へ宛てて書いた何通かの手紙でした。
細い線で書かれた丸みを帯びた文字が几帳面に並ぶ、若い女性が書いたかと思わせるような書きぶりで、そこから想像される彼の姿は、随分と身近なものに感じられました。
そしてそのように書かれた文字で彼の詩や童話を読む事ができたら、どんなに素晴らしいだろうと思ったのでした。