2010年05月29日

雨の夜、横須賀で


Chet Baker Sings

イタリアの話題はまだ終わっていないのですが、今日は別の話しを。
先週末、横須賀に行く用事が有って、以前友人から聞いていた喫茶店に立ち寄りました。
生憎雨で、お店の名前になっている月は出ていませんでしたが、却ってゆっくりする事ができて、居心地の良い時間を過ごしました。
流れる音楽は大体ジャズで、知っている曲と知らない曲が半分位づつ。
その中で一番雰囲気に合っていたのが、チェット・ベイカーの歌でした。
彼の音楽を雨の夜に横須賀で聴いて、しっくり来ると言うのは意外だったのですが、少し歩けば米軍の基地が有る街なのですから、不思議ではないのでしょう。
そこには録音当時の彼のような若者が居て、同じような曲を歌っていたかも知れません。
そして皮肉と言うにはつら過ぎる事に、65年前の今日、同じ国の軍隊が横浜の街を火の海にしたのでした。
その爆撃機の中にも、彼のような若者が居たのでしょうか?
でもそれは、今になって考えた事です。
あの夜は温かいコーヒーを飲みながら、どうして自分は昔から横須賀の街に惹かれるのだろう、などとぼんやり考えていたのです。
お店のサイトは、以下のアドレスに有ります。
http://www12.plala.or.jp/tsukijirusi/index.html
posted by masaaki at 22:44| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月27日

テルミニ駅


テルミニ駅

日本へ戻る前の2日間は、ローマで過ごしました。
表玄関テルミニ駅(Stazione Termini)の正面部分は、1947年に設計競技が行われてモントゥオーリ(E.Montuori)等が選ばれ、1950年に完成したそうです。
前回書いたミラノ中央駅とは全く違って、豪華ではありませんが、ダイナミックな造形と空間は全く古さを感じさせず、10年前にできたとしてもおかしくない、と思いました。
ただ私にとって建物よりも印象的だったのは、そこに集まる大勢の人達の様子でした。
どこの国のどんな人なのか、ちょっと解らないような種々雑多な人達が次々と現われては消えて行って、何とも言えない熱気と活気、そして幾らかの怖さを感じました。
私が今までに訪れた街の中では、ニューヨークのダウンタウンに近い雰囲気です。
それは後で訪れたバチカンにも通じるもので、やはりローマはニューヨークと同じように世界に開かれた街、世界都市なのだ、と言う事を実感させるものでした。
それと同じ事が、東京ではぼんやりと幻のように感じられ、ソウルではほとんど感じられず、北京では重苦しいものとして感じられるように思います。
posted by masaaki at 23:01| Comment(3) | 交通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月22日

ミラノ中央駅


ミラノ中央駅

ミラノでは、腹痛をこらえつつ、有名な建物を幾つか見て回りました。
その中で、予想に反して印象的だったのが、ミラノ中央駅です。
資料によると、1912年に設計競技が行われてウリッセ・スタッチーニ(Ulisse Stacchini)が設計者として選ばれ、19年後の1931年に建物が完成した、と言う事になっています。
何でもムッソリーニが国家の威信を賭けて建設を進めたとかで、その規模とデザインは、誇大妄想的な印象を強く与えます。
ただ、空間として圧倒的な迫力が感じられるのもまた事実で、そもそも建築や土木の輝かしい遺産に恵まれたイタリアでは、この位しないと釣り合わないだろう、とも考えられます。
そこで思い出したのは、1986年に行われた東京都新都庁舎の設計競技での、磯崎新案でした。
あの案が実現したら、内部空間はこのような場所になったのではないか、と思ったのです。
磯崎さんは認めないかも知れませんが、西洋建築の歴史を意識しつつ、現代的な課題に取り組み、その中で空間をデザインする、と言う事が同じだとしたら、結果が似て来ても不思議ではないでしょう。
posted by masaaki at 17:31| Comment(2) | 建築 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月18日

ミラノサローネ2010


ミラノサローネ2010会場

もう1ヶ月前の事になってしまいましたが、イタリアへ行った最大の目的は、ミラノサローネ国際家具見本市(Milanosalone)を見る事でした。
建築やデザインの世界では有名な見本市で、今年は6日間で33万人程の人を集めたそうです。
ただ情けない事に、滞在中に体調を崩してしまったので、全体の1/3程度しか見る事ができませんでした。
家具の他、照明とキッチンの見本市が1年毎に開催され、今年はキッチンの年だった訳ですが、私としては、その部分がとても新鮮に感じられました。
それぞれのブースに強い個性が感じられ、設備と言う枠を超えて、インテリアとしての提案になっているものが多いのです。
また全体的に、日本で良く見られるように、エコとかバリアフリーとか、時代の流れらしきものに皆で従ってしまう、と言うような事は無くて、そうしたものを取り入れるにしても、自分達のデザインの中でしっかりと消化している、と思いました。
画像に載せたのは、会場となったローフィエラ(Rho Fiera)で、設計はマッシミリアーノ・フクサス(Massimiliano Fuksas)です。
posted by masaaki at 12:23| Comment(2) | 建築 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月10日

白いリリシズム


カーサ・デル・ファッショ内観

コモと言う街には、ジョゼッペ・テラーニ(Giuseppe Terragni)が設計した建物が幾つか有って、今回私は、それ等を巡るバスツアーに参加する事ができました。
その中でも、カーサ・デル・ファッショ(Casa del Fascio)とサンテリア幼稚園(Asilo d'infanzia Sant'Elia)は、初期モダニズム建築の傑作として有名です。
この2つの建物を考える時には、建築の歴史とか主義とか、あるいは政治との関係とか、いろいろ厄介な問題が有る訳ですが、今の自分の目で素直に見ると、リリシズムとでも呼びたくなるような、建物の姿や空間そのものの魅力が、強く印象に残りました。
例えば、概念的に考えれば、これ等の建物が「白い」必然性は特に無いのですが、その透明で清々しい表情は、「白い」からこそ、感じられるものに違いない、と思うのです。
またそのリリシズムは、幼い頃の槇文彦が、土浦亀城の自邸から感じたものと、あまり違わないのではないか、とも思います。
ただし私が撮った写真は、大体どれも良くなくて、画像に載せたカーサ・デル・ファッショの内観は、中ではまし、と言う1枚です。
posted by masaaki at 22:23| Comment(2) | 建築 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月01日

コモのロッジア


コモのロッジア

画像に載せたのは、コモの街の中心に有る教会とその前の広場に繋がる半外部の場所で、建築の言葉で言う「ロッジア」(loggia)です。
このような街を歩くのが楽しいのは、単に街並みが古いからとか、綺麗だからとか言うだけではなくて、建物と街、それに人が良い形で結びついているからだと思うのですが、それには、こうした場所が重要な役割を果たしているはずです。
日本の建物にも、縁側とか土間とか、魅力的な半外部の場所は有りますが、このように街中に有って誰でも利用できる所、と言う例は残念ながらあまり無いようです。
振り返ると、私が学生の時に考えた計画に、駅の上に建物を作ってロッジアのような場所を設け、駅前広場と一体的に利用できるようにする、と言うものが有りました。
当時はまだ実際のロッジアを見た事が無かったのですが、今回体験したものは、まさにその時に思い描いていたものに他なりません。
私が建物と街の関係を考える時に、最もおもしろいと感じるのはこのような部分で、それは学生の頃からあまり変わっていないようです。
posted by masaaki at 12:44| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする